痔ろうは別名「穴痔」とも呼ばれています。痔ろうについて原因、症状、治療方法、手術費用、日常生活への影響についてご紹介します。
痔ろうとは
痔の中でも治療が難しい病気です。痔ろうの発症には段階があり、前段階として肛門周囲膿瘍の状態になります。肛門周囲膿瘍は下痢便の細菌が肛門周辺に存在するくぼみ(肛門陰窩:こうもんいんか)に侵入し炎症を起こし、膿が溜まった状態です。
肛門周囲膿瘍とは
- お尻から膿が出る
- 肛門周辺が腫れる
- お尻が熱い、熱っぽい
- 38~39℃の発熱をする
- 肛門周辺がズキズキ痛む
痔ろうは薬物では治療が難しく、手術が必要です。痔ろうを放置すると症状が悪化し、「瘻管(ろうかん)」が複雑化します。そうなると手術も難しくなり、治療にも時間がかかってしまいます。また、がんの原因にもなりますので、できるだけ早期に治療を受けるようにしてください。
痔ろうの治療方法
手術治療
痔ろうは基本的に手術によって治療が行われます。痔ろうは肛門の中から外まで肛門括約筋が通った瘻管が形成される病気です。手術は次の事に注意して行われます。
- 痔ろうの膿が中にたまらず外に出て行きやすくするために外側の入り口を処置する
- 肛門括約筋をできるだけ傷をつけないように手術を選択する
- 痔ろう(瘻管:ろうかん)に再度菌が入らないようにする
上記の注意点を前提に、患者様の痔瘻の状態を考慮し、手術方法を決定します。
瘻管切開開放術
瘻管切開開放術は日帰り手術が可能です。問題になっている瘻管(膿のトンネル)と肛門括約筋を切開し、瘻管を露出させます。この手術方法は、根治性が高く、再発率も低い治療方法です。
しかし、肛門括約筋を切開する為に、手術する事で便やおならが漏れやすくなる、肛門の形が変わるといった影響が出る可能性があります。そのような問題をさける為、瘻管切開開放術は痔ろうの進行が浅く、瘻管が複雑化していない段階に選択される術式です。
くり抜き法(括約筋温存術)
くり抜き法(括約筋温存術)は、入院手術となります。瘻管(膿のトンネル)をくりぬいて、肛門括約筋をできるだけ傷つけないように行う手術方法です。手術後は肛門機能は維持できます。ただし、再発率は瘻管切開開放術と比べると高くなります。