治療コラム確認用

オロナイン等の市販薬はいぼ痔に有効?悪化しているサインの症状等についても解説

いぼ痔になった場合、悪化する前に病院で早期治療するのが大切です。
しかし休日や夜間で病院が閉まっているとき、もしくは忙しくてすぐに病院へ行けないときに突然いぼ痔になった場合、どう対処したら良いのか悩むこともあると思います。

そのようなときに、家に普段から置いてある薬で対処できたら良いですよね。痔専用の治療薬は置いてある家庭は少ないと思いますが、オロナイン等の市販薬であれば常備している家庭も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、いぼ痔にオロナインは有効なのか解説します。
あわせて、いぼ痔の症状や悪化したときのサインについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

いぼ痔とは

いぼ痔は肛門に血液がうっ血してできた静脈瘤です。うっ血する原因は次の通りです。

  1. 便秘などで排便時に強くいきむ
  2. 重い荷物を持つ
  3. 長時間座っている仕事
  4. お尻を冷やす

医学用語では、いぼ痔のことを「痔核」と言います。

いぼ痔の種類

いぼ痔は「内痔核(ないじかく)」と「外痔核(がいじかく)」に分けられます。
肛門の皮膚と直腸粘膜の境目の部分を「歯状線(しじょうせん)」と言い、これより奥に出きるのが「内痔核」、外側もしくは肛門の外にできるのが「外痔核」です。
それぞれ詳しく解説します。

種類①内痔核

内痔核(ないじかく)は歯状線より奥の部位にできた「いぼ痔」です。
肛門の出口から約2cmほど奥の場所になります。

内痔核ができる要因はいくつかあり、排便時の強くいきむことや、長時間座っていること、出産時のいきみによってもできてしまいます。

歯状線より奥の部分は、痛覚(痛いと感じる感覚)がないため、普段はなかなか気づきません。
しかし排便時の出血や、大きくなったいぼが肛門から飛び出ることで、内痔核に気づくようになります。

種類②外痔核

外痔核(がいじかく)は歯状線より外側にできた「いぼ痔」です。

外痔核ができる原因は、便秘や下痢、辛いものやアルコールの摂り過ぎ、長時間の排便時間、お尻を冷やすことなどがあります。

肛門の皮膚の部分にできるため、痛みを感じますが出血は少ないです。

急に腫れる外痔核を血栓性外痔核(けっせんせいがいじかく)といい、強い痛みを感じます。

いぼ痔が悪化しているサインの症状

いぼ痔の症状が悪化するときは、いくつかの兆候が現れます。その中で代表的な2つを紹介します。

悪化①排便時の激痛

内痔核は初期の段階では直腸内にあります。直腸内は自律神経に支配されているため、痛覚がなく、痛みを感じません。
しかし排便するときに肛門から脱出するほど大きくなると、痛みも出てきます。

とくに、いぼ痔の中に血栓ができて嵌頓(かんとん)状態になると、はげしく痛みがでます。

このように、いぼ痔で痛みを感じるときは、症状の悪化がみられるサインです。

悪化②排便時の出血

内痔核の初期の段階では痛みがないため、排便時に血だけ出ることがあります。

出血の程度はトイレットペーパーや便に少し付く量から、勢いよく出るときもありますが、いずれも血の色は赤い鮮血です。出血の量だけで悪化を判断するのは難しいですが、量が多いときは悪化がみられる場合もあります。

また、暗赤色や粘血液、持続的な出血などがある場合は、違う大腸の病気の可能性もありますので、出血で気になることがあるときは、病院を受診してください。

いぼ痔が悪化したときは内服薬もある

いぼ痔が悪化し痛みが強く出た場合は、軟膏のような外用薬だけでなく、内服薬を使用して治療することもあります。

痛みや腫れ、出血の改善に効果があるとされていますが、妊婦に対する安全性は保証されていません。そのため安全性を考え、漢方薬が処方されることが多いです。
外用薬との併用により症状を緩和させる効果があるとされており、副作用の報告もほとんどないとされています。

まとめ

いぼ痔は肛門の皮膚と直腸粘膜の境目で2種類に分けられます。
直腸側にできるいぼ痔を内痔核といい、肛門や肛門の外にできるいぼ痔は外痔核です。

このうち市販薬であるオロナインH軟膏を塗れるいぼ痔は外痔核になります。

治療を目的とする場合には、病院にて症状にあった薬を処方してもらうことが必要になります。

監修

医療法人社団晃輝会
理事長 医学博士 大堀 晃裕

日本大腸肛門病学会 専門医・指導医 https://www.coloproctology.gr.jp/

大学病院と総合病院に長年従事し、肛門病疾患を中心に大腸肛門病に対して多数の検査実績、手術への豊富な執刀経験を持ちます。
日本大腸肛門病学会の中でも数少ない専門医・指導医として、治療だけでなく技術指導を行なっています。
現在医療法人社団晃輝会の理事長として大腸肛門病・消化器内科の専門クリニックを2院展開し、胃・大腸内視鏡検査を年間2,700件以上、手術も年間500件あまり手掛けています。

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