そのかゆみ、痔かも?おしり・肛門がかゆい原因・対処法・予防法を解説
目次
おしりや肛門付近にかゆみの症状が出て困った経験はないでしょうか?デリケートな部分のため、顔や背中のようにどこでも掻くことはできませんよね。
おしりや肛門付近にかゆみが出る原因は、汗や排泄物の汚れからくるもの、肛門周囲の疾患によるものなどさまざまです。
そこで、本記事では、かゆみについて「原因」「対処法」「予防法」の3つについて解説します。
かゆみの症状でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
おしり・肛門がかゆい原因
おしりや肛門周囲にかゆみが出る時に考えられる原因は以下の7つです。
- 肛門の周囲・内部の汚れ
- 汗による刺激
- いぼ痔(痔核)・あな痔(痔瘻)
- ぎょう虫症
- 接触性皮膚炎(かぶれ)
- 外陰膣カンジダ症・カンジダ性膣炎
- HPV感染
それぞれの原因について解説します。
原因1肛門の周囲・内部の汚れ
肛門周囲に汚れがあると、かゆみの原因になります。
排便後に拭き残しがある場合、肛門内部に便が残っていて刺激となる場合などです。
しかし、汚れを気にし過ぎるあまり、洗いすぎるのも良くありません。トイレットペーパーで強く拭くことや温水洗浄便座で長時間洗うことは、必要な皮脂まで無くなってしまいます。皮脂がなくなってしまうと、乾燥したり、皮膚のバリア機能が低下しかゆみを感じやすくなりますので注意が必要です。
おしりの洗浄は10~15秒程度で、かゆみの強いときは石鹸を使用せず、擦らず、かかず、押し拭きに徹しましょう。
原因2汗による刺激
汗を多くかくことで一時的に汗腺が詰まります。
汗がスムーズに出ないことで、あせも(汗疹)があらわれ、かゆみの原因となります。
締め付けの強い下着やおむつなどは、蒸れて汗の影響を受けやすくなるため注意が必要です。
原因3いぼ痔(痔核)・あな痔(痔瘻)
痔はかゆみよりも痛みの出る印象は強いですが、かゆみの原因にもなります。
いぼ痔(痔核)からの出血や粘液、あな痔(痔瘻)から出る膿が原因で、肛門の周りの皮膚がただれてかゆみがあらわれます。
原因4ぎょう虫症
ぎょう虫は大腸や直腸に寄生する虫です。
肛門付近に卵を産み付ける習性があり、粘着性のある卵と虫が動き回ることにより、かゆみの症状があらわれます。
かゆみがある状態で肛門付近を触ると、手が感染経路になりますので、注意が必要です。
原因5接触性皮膚炎(かぶれ)
石けんや薬品、下着の素材などが肌に合わない場合、かぶれの原因になります。
また、生理用品やおむつなどを長い時間使用することで、経血、汗や尿などと接触で蒸れたりするのもかぶれを引き起こす原因となります。
原因⑥外陰膣カンジダ症・カンジダ性膣炎
膣に生息するガンジダ菌の繁殖が原因で、肛門付近にかゆみの症状が出ます。
ガンジダ菌は、腸内や性器周辺に誰でも菌を持っており、通常は増殖しません。
過労や妊娠などで抵抗力が落ちた女性に現れる傾向があり、白いおりものが出るのが特徴です。
原因⑦HPV(ヒトパピローマウイルス)感染
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、多くの人が感染しているウイルスです。
200近くの種類があり、ほとんどのタイプは感染しても何も起きません。
しかし、一部に「いぼ」や「がん」の原因になるものがあり、おりものの増加や擦れて出血することも。
そのことが影響して、肛門付近のかゆみにつながることがあります。
おしり・肛門のかゆみの対処法
おしりや肛門にかゆみの症状がでた場合の対処法として、次の2つを紹介します。
- 刺激を与えない
- 医療機関を受診する
それぞれの対処法を詳しく見ていきましょう。
対処法1刺激を与えない
かゆみの対処法として効果的なのが、刺激を与えないことです。
触ったり引っ掻いたりすると、皮膚が傷つきかゆみの症状が悪化してしまいます。
トイレットペーパーで肛門を拭く際も、注意が必要です。
強い刺激を与えないように、おしりを拭く際は優しく拭きましょう。(押し拭き)
また、温水洗浄便座の水を肛門に長時間あて続けることも、必要な皮脂まで取れて粘膜が刺激されます。
清潔にはなりますが、使いすぎは逆効果になるので、気をつけてください。(10~15秒)
対処法2医療機関を受診する
かゆみや炎症が続く場合は、肛門科や皮膚科を受診し、原因を調べましょう。
専門の病院やクリニックに行くことで、適切な治療が受けられ、かゆみが改善できます。市販の薬で治るケースもありますが、痔瘻など治療できないものもあります。
また、尖圭(せんけい)コンジローマ、外陰膣カンジダ症などの感染症の疑いがあるときは、パートナーも一緒に受診してください。放っておくと症状が悪化するケースもあるため、かゆみを感じたら医療機関の受診が必要です。
おしり・肛門のかゆみの予防法
おしりや肛門のかゆみを予防する方法として、次の3つを紹介します。
- 清潔を保つ
- かぶれの原因になるものを避ける
- おしりの血行を促進させる
それぞれの予防方法を詳しく見ていきましょう。
予防法1清潔を保つ
かゆみの症状を防ぐためには、肛門を清潔に保つ必要があります。
便が肛門付近に残らないように、しっかり拭きとりましょう。
ただし前項でも紹介しましたが、強く拭きすぎないようにしてください。
トイレットペーパーでうまく拭けない場合は、おしり用のウェットティッシュを使用してみてください。少ない摩擦でキレイに拭けます。擦らないよう押し拭きを!
予防法2かぶれの原因になるものを避ける
薬品や石鹸などが肌に合わない場合、もしくは下着の素材が合わない場合は、使用を控えましょう。
また、下着を洗った洗剤が原因の場合もありますので、洗濯洗剤も気を配る必要があります。
おむつや生理用品を使用している場合は、こまめな交換が必要です。
長時間付けていると、かぶれの原因となります。
定期的に交換できるよう、準備しておきましょう。
予防法3おしりの血行を促進させる
おしりが血行不良は、痔の大きな原因になります。
血行を促進させるためには、お風呂やシャワーを利用したり、運動を取り入れたりしましょう。
仕事などで長時間座り続ける方は、クッションなどを利用して、なるべく血行不良にならないように工夫することが大切です。
まとめ
おりり・肛門がかゆくなる症状について、原因の解説、対処法や予防法の紹介をしてきました。まとめますと、以下の通りです。
おしり・肛門がかゆくなる主な原因は
- 汗や排泄物などの汚れからくる皮膚炎(かぶれ)
- 石けんや洗剤などの薬品、下着の素材からくる皮膚炎(かぶれ)
- いぼ痔(痔核)やあな痔(痔瘻)などの肛門周囲の疾患
- カンジダやHPV、ぎょう虫などの感染症
かゆくなったときの対処法は
- さわったり、洗いすぎたりなどの刺激を与えないこと
- 症状が出たら迷わず肛門科や皮膚科を受診すること
かゆみが出ないようにする予防法は
- 清潔に保つ
- かぶれの原因になるものを避ける
- おしりの血行を促進させる
原因、対処法、予防法を理解して、日々の生活を送りましょう。
悩むことがありましたら、迷わず肛門科などの医療機関を受診してください。
監修
医療法人社団晃輝会
理事長 医学博士 大堀 晃裕
日本大腸肛門病学会 専門医・指導医 https://www.coloproctology.gr.jp/
大学病院と総合病院に長年従事し、肛門病疾患を中心に大腸肛門病に対して多数の検査実績、手術への豊富な執刀経験を持ちます。
日本大腸肛門病学会の中でも数少ない専門医・指導医として、治療だけでなく技術指導を行なっています。
現在医療法人社団晃輝会の理事長として大腸肛門病・消化器内科の専門クリニックを2院展開し、胃・大腸内視鏡検査を年間2,700件以上、手術も年間500件あまり手掛けています。
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