大腸内視鏡検査(大腸カメラ)にまつわる費用相場を解説
大腸内視鏡検査を受診するには、2通りの方法があります。
人間ドックなどの健診で受ける方法と、便潜血検査などの検診で陽性を指摘された方や症状があって病院を診察した方が受ける方法です。
両者とも検査の手技は同じですが、請求方法が異なるため、窓口に支払う金額は変わってきます。
人間ドックなどの健診で受ける場合は自費診療となり、医療機関によって値段が異なります。
しかし診察した結果、大腸内視鏡が必要となった場合は保険診療となるため、日本全国どこの医療機関で検査をしても金額は同じです。
そのため、検査費用の相場として保険診療で受診した場合を中心に解説していきます。
大腸内視鏡検査は、大がかりな検査で費用も高くかかるのではないかと不安に思っている方は、ぜひ参考にしてください。
大腸内視鏡検査のみの費用
保険診療では、厚生労働省が定めている診療報酬の点数によって費用が算出され、日本全国どこの医療機関で受診しても金額は同じになります。
大腸内視鏡の診療点数は1,550点と定められており、1点10円換算の計算です。
この費用から窓口で負担する割合は年齢や所得によって異なります。
7歳から69歳までは3割負担、70歳以上高齢者は所得により1〜3割の負担です。
例として、50歳の方が大腸内視鏡検査を受けた場合、窓口に払う検査代金は4,650円です。
15,500円 × 0.3(3割) = 4,650円
実際はこの検査代金に、診察料や異常がみられた場合の処置料、病理検査料、鎮静剤代(希望者)などが加算されます。
狭帯域光強調加算の費用
狭帯域光強調加算とは、画像強調観察技術を搭載した内視鏡で検査を実施したときに追加される費用のことです。
診療点数は200点に設定されており、3割負担で600円の加算になります。
この観察技術はIEE(画像強調内視鏡;image enhancement endscopy)と呼ばれ、粘膜表層の毛細血管などを強調して観察できます。
従来の内視鏡の光では見えにくかった、早期のがんなどの発見に有用です。
粘膜点墨法加算の費用
粘膜点墨法加算とは、検査中に粘膜の凹凸が見やすくなるように、青い液体(インジゴカルミン)を散布したときに追加される費用のことです。
大腸ポリープやがんなど病変の疑いがあり、より良く観察したいときに使用します。 診療点数は60点に設定されており、3割負担で180円の加算になります。
病理検査の費用
病理検査とは、採取した細胞や組織を顕微鏡で観察する検査です。
専門の病理医のもとへ提出をして、良性や悪性、性質などの診断をしてもらいます。
病理検査は、内視鏡で組織をうすく切除して採取することから、顕微鏡で観察・診断するまで複数の工程があり、それぞれに費用がかかります。
内訳は以下の通りです。
- 内視鏡下生検法:310点
- 病理組織顕微鏡検査(T-M):860点(※1臓器につき)
- 病理診断料:150点
合算すると1臓器の場合は1320点となり、3割負担で3,960円です。
まとめ
大腸内視鏡検査は、内視鏡を使用して検査をするだけでなく、検査前の採血や下剤の選定、検査中の麻酔などさまざまな工程があります。
それぞれに費用が決められていて、保険診療の場合は日本全国どこの医療機関で受診しても、検査費用は一定です。
窓口での自己負担の割合は年齢や所得によって異なり、6歳〜69歳は3割、70歳以上は所得により1〜3割となっています。
医療施設によって多少の誤差はあるものの、大腸内視鏡の費用相場は表のとおりです。
厚生労働省が発表した資料によると、大腸がんで亡くなっている割合は男性が3位、女性が1位となっています。
がんを治すには早期発見が大事です。
大腸内視鏡検査の費用相場を確認して、ぜひ検査を受けてください。
監修
医療法人社団晃輝会
理事長 医学博士 大堀 晃裕
日本大腸肛門病学会 専門医・指導医 https://www.coloproctology.gr.jp/
大学病院と総合病院に長年従事し、肛門病疾患を中心に大腸肛門病に対して多数の検査実績、手術への豊富な執刀経験を持ちます。
日本大腸肛門病学会の中でも数少ない専門医・指導医として、治療だけでなく技術指導を行なっています。
現在医療法人社団晃輝会の理事長として大腸肛門病・消化器内科の専門クリニックを2院展開し、胃・大腸内視鏡検査を年間2,700件以上、手術も年間500件あまり手掛けています。
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