早期がんの発見に役立つ胃カメラ(胃内視鏡検査)の費用相場を解説
目次
胃カメラ(胃内視鏡検査)は、胃がんの発見に有効だと言われています。
がんは早期の段階では自覚症状はほとんどなく、自分では気づきにくいのが特徴です。早期にがんを発見できるよう、病院やクリニックでがん検診や人間ドックなどで定期的に胃カメラを受診しましょう。
この記事では、胃カメラを受ける際に気になる検査費用の相場を解説しています。
自費診療や保険診療など、さまざまな場合の費用をまとめていますので、参考にしてください。
胃カメラ(胃内視鏡検査)は早期がんの発見に役立つ
胃カメラ(胃内視鏡検査)は、早期の胃がんを発見できる有効な手段の一つです。
2015年に日本消化器がん検診学会より、胃カメラは胃がんの死亡率を減少させる効果があることが認められました。
そのため2016年4月以降の自治体が主催する胃がん検診では、バリウム検査だけでなく、胃カメラが新たに選択できるようになっています。
国立がん研究センターの報告では、胃がんはがんの中でも3番目に多く、死亡率も3番目に高い統計が出ています。
また早期の胃がん(ステージI)で発見された場合は、5年生存率は96.0%と非常に高いため、早期の発見と治療が大切です。
しかし、早期の胃がんは自覚症状がない場合が多いため、気がつくのが遅れる可能性があります。胃(みぞおち)の痛み・不快感・違和感・胸やけ・吐き気・食欲不振などの症状があらわれたときは、がんが進行しているかもしれません。
症状がなくても定期的に胃カメラを受けることは、早期がんの発見に役立つでしょう。
胃カメラの費用相場
胃カメラ(胃内視鏡検査)の費用相場は、自費診療の場合1万円~2万5,000円です。
検査方法、使用する麻酔(鎮静剤)の種類など、医療施設により異なります。
保険診療(3割負担) | 自治体による検診 | |
---|---|---|
麻酔あり | 5,000円〜13,000円 | - |
麻酔なし | 4,500円前後 | 無料〜3,000円 |
自治体が実施しているがん検診では、基本的に麻酔は使用いたしません。ただし一部の自治体では、追加料金にて対応している場合もありますので、ご確認ください。
経鼻(鼻からカメラを挿入する)で検査する場合は、500円~1,000円の追加料金が発生する場合があります。
同じ医療機関で胃カメラの検査を受ける場合でも、受ける立場に応じて費用が異なります。
保険診療は3割負担になりますが、診察料という検査費用とは別の費用が必要です。
それぞれの費用について解説していきます。
自費診療(保険適用外)になるケース
人間ドックや健康診断など、受診者の意思で胃カメラ(胃内視鏡検査)を受けたい場合の検査費用は、医療保険が適用外(自費診療)になります。
上記の表の通り、自費診療は高額のため、自治体や企業が実施しているがん検診を利用するのが、費用を抑える方法の一つです。
厚生労働省が定めたがん検診の指針では、50歳以上を対象に2年に1回の間隔を推奨しています。自治体や企業により対象年齢や検診間隔は異なりますが、この指針に沿った内容で実施されている場合が多いです。
検診の対象年齢に達していない場合は、人間ドックを活用することになります。こちらも住んでいる自治体、加入している健康保険協会や医療保険などから、補助金や助成制度がある場合があります。利用できる制度があるか確認してください。
保険診療になるケース
保険診療が認められるケースは、以下のように医師から胃カメラをする必要性が出た場合です。
- 医療機関を受診した際に、医師から胃カメラ(胃内視鏡検査)の指示が出た場合
- 自治体などのがん検診で「要精密検査」の結果が出た場合
医療機関でかかる保険診療の費用は国が定めたもので、どこで受診しても同じ額になります。
加入者の年齢などの条件により、自己負担額の割合が1~3割の違いがあります。
診察料の費用
医療機関で医師の診察を受けると、診察料が発生します。診察料には、初めて受診するときの初診料と2回目以降の受診時にかかる再診料があります。
例えば
このように、胃カメラを受けるだけであっても、初診料や再診料は必ずかかります。
そのほかの費用として、感染症を調べる採血、静脈麻酔、生検・病理検査などさまざまな項目があります。
医療施設により採用している検査手技や装置の違い、受診者の希望や状態などにより、上記項目が変わって来ます。
このほかに、200床以上の大きな病院に紹介状がなく受診する場合は、初診料に加え5,000円の特別料金を別に請求されますので、注意が必要です。
胃カメラで異常が発見されたとしてもがんとは限らない
胃カメラを受けた際に異常が見つかったとしても、すべてが「がん」とは限りません。
胃がんと診断されるのは、異常が疑われる部分の組織を採取し、顕微鏡で確認したときにはじめてわかります。
胃にできる良性のポリープであっても、さまざまな形のものがあり、胃がんとの区別がつかないことが多いです。また現時点では良性でも、のちに「がん」になる可能性があるものもあります。
そのため疑わしいものは組織を採取して調べますので、異常が発見されたとしても、良性であることも多いです。
このほかにも逆流性食道炎や胃潰瘍(かいよう)など、がんとは関係なく胃に不快感を与える疾患が見つかることもあります。
大腸内視鏡検査も併せて受けられる施設がある
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)と胃カメラは、同日に受けることができます。
大腸カメラと胃カメラは、太さが違う別のカメラを使用するため、大腸カメラがある施設なのか確認が必要です。
そして、検査前の準備も異なります。胃カメラにくらべ、大腸カメラの方が検査前に行う準備が多いため、胃カメラを受ける当日に突然お願いすることはできません。胃カメラの場合は、前日の夜ご飯以降からの準備で済みますが、大腸カメラの準備は前日の朝から検査食が始まります。
どちらも検査前の食事制限はありますので、何度もやりたくない方には、同日検査はおすすめの方法です。
監修
医療法人社団晃輝会
理事長 医学博士 大堀 晃裕
日本大腸肛門病学会 専門医・指導医 https://www.coloproctology.gr.jp/
大学病院と総合病院に長年従事し、肛門病疾患を中心に大腸肛門病に対して多数の検査実績、手術への豊富な執刀経験を持ちます。
日本大腸肛門病学会の中でも数少ない専門医・指導医として、治療だけでなく技術指導を行なっています。
現在医療法人社団晃輝会の理事長として大腸肛門病・消化器内科の専門クリニックを2院展開し、胃・大腸内視鏡検査を年間2,700件以上、手術も年間500件あまり手掛けています。
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